車の走行中に酷いディスクブレーキ引きずり音は非常に危険で怖い!記




先月のこと、息子が知人から買って来た車について走行中に異常な音がすることを相談されました。走り出すと前輪の左側から大きな擦り音が常にして酷いジャダーもするとのことで確認してみると、外から見ても右側に比べて異常にディスクパットが減っている状態だったのです。

まだ車検をして2~3カ月ほどしか経っていなく距離も大きく経過していないにもかかわらず、急にこんなにパットの厚みが無くなるわけがありません!(車検時の整備シートにはパット厚み6mmと記入されていました・・)

とりあえずタイヤを回して音を聴いてみようとジャッキアップして前輪を上げ、シフトNで手で回したら右側は特に異常はありませんでしたが・・、左側を回そうとしてみたらビクともしません!何かで完全に回転を止められていたのです!(これは・・と一瞬 冷や汗ものでした・・)

今回の車検・整備した店はディーラーではなく黄色い帽子というチェーン店だったようですが、この異常を分からなかったのでしょうか・・?それとも車検時は正常だったというのでしょうか・・?(これは急になる故障ではないと思われますので不思議です・・)

今回も結果的にそうでしたが、この故障は錆びによる影響が多いため雪国や沿岸地域に住む方々の車両には特に注意が必要なことなので、参考のため今回はこの体験記を綴っておきたいと思います。

原因はブレーキの固着・引きずりという危険な故障!

先に記した通り左側のタイヤが手では回らない状態でしたが、タイヤは普通に外すことはできましたのでパットの状態を診て見ました。(タイヤを外すとブレーキキャリパーがあり、そこに空いている穴から見ることができます)

ブレーキペダルを踏むとディスクローターを内側と外側のパットで挟んで回転を止めるのですが、油圧によって飛び出るピストン側の内側パットの方が比較的に減りが早いわけで、これを見ると内側は全くパット厚が見えませんでした!(ありませんでした・・)

ということは、パットが無くなり鉄だけになってしまった部分が直に鉄製のローターを削っていたことになります!

尚且つ、固着によって常に引きずっていたということとなれば、想像すると非常にこれは恐ろしいことです!(鉄と鉄の摩擦によって火花も発生し、非常に高温になる恐ろしい状態です・・’)

ゆっくり数キロほどを走るくらいならともかく、それなりのスピードで何十キロも走れば大変危険だと想像できると思います! 鉄同士の摩擦熱でローターは赤くなり、ホイールもブレーキキャリパーもオイルも高温で沸騰し・・(よく車が発火してしまうニュースがありますけど)

上の怖さを考えると、ここまで無事に乗って持って来れたことはとても運が良かったと言えるでしょう!(知らなかったのが幸いかもしれませんが、到着した時にはホイール等は熱くて触れなかったと思います・・’)

さて、今このブレーキがかかっているこの状態では当然にまだこのシャフトが回りません。なので、どうにかブレーキがかかった状態を一旦解除してみなければなりません。

要はディスクローターを押さえられて動かない状態になっているとすれば、押さえつけているだろうピストンを放せば良いわけです。

というわけで、下図の様に大きめのマイナスドライバーでピストンと鉄パットの間に噛ませてこじて押し戻しをしてみました。(本当に押さえつけられてタイヤが回らないのかを確かめるためにも)

すると若干ですが鉄パットとピストンの間が空きました。ここでローターを回してみると、見事に軽く回せる様になったのでした~!(これで原因は、ピストンが押さえつけていたことが判明)

普通は踏んでいたブレーキペダルを放すとブレーキオイル圧力が減るのでピストンは若干引っ込むことになっていますが、錆などでピストンが戻れなくなってしまうとそのままピストンが出たままになるので、結果ブレーキがかかりっぱなしになるというわけです。

それでは、その元の原因となる錆びは何処から来たのか?です・・

ブレーキピストンの固着は錆が付いてしまう原因が多い!

今までこの車を使っていた知人はスキーなど良く行っていたのか雪国の地域出身だったのか、または沿岸地域だったのか分かりませんが、ローターの錆び付きレベル等を考えるとやはり融雪剤や潮風などの塩分による影響があるのでしょう。(あまり雪の降らない内陸部では塩害車は少ないので)

↑上はピストンの固着がなく、引きずりしていない右側パットの様子です。こちらは引きずりを起こしていないのでパットもまだ十分に残っています。(6~7mmくらい)

ところが、引きずりを起こして走っていた左側のパットを外してみてみると↓下の画像のように悲惨な状態になっていました!外側は僅かに1mmくらい残っていますが、内側は完全に鉄部しかありません。

左が外側パットで、右がピストンに押さえつけられていた方の内側パット(鉄パット)

単にブレーキパットを交換することなら自らでもできますが、今回はピストンのオーバーホール(分解調整)が必要となりますので整備士の友人を呼ぶことになりました。

この錆び具合を考えると、「もしかしたらキャリパーピンも固着して外れないかも・・」という心配も浮かびましたが、そこは若干固いだけで無事外せたのでホッとしました。

ブレーキキャリパーを外すと、今回の大きな原因が全て分かりました(↓の画像)

↑画像でも分る通り、ピストンのブーツに破れている穴が見えます。

この状態でずっと経過していたということは、当然に水分は中のピストン表面に錆びを発生させてしまったのでしょう。

また、内側パットが鉄となっていたことでディスクローターもボロボロになっていました!

いくら車について無知な素人でも、ここまで気が付かずに乗っていたなんて信じがたい事だと思いました・・(車検整備をした黄色い帽子店も、ちゃんと確認していれば解かったはずですが・・)

↓錆が発生し固着していたピストン

若干の錆び付きならば少し研磨して綺麗になるとのことですが、今回は酷く劣化しているので新品と交換が必要となりました。(新品ピストン2000円~3000円くらい)

ピストンのオーバーホールと共にボロボロのローターも交換しなければなりませんので、外すことになったわけですが、これがまた大変だったのです!

ディスクローターはハブ部と錆でくっ付いていることが多いですが、2つほどネジ穴が空いているのでボルトを入れていけば普通は放すことができようになっています。(ビスで留めてあるホンダ車は別ですが・・)

しかし、今回は錆び付きが異常だったのでボルト2本を入れても苦戦した感じです!

結果は↑の画像の通り、錆び付き固着が酷かったためにローターが割れるほどの苦戦でした!

ここまで錆が強力だったことは、正に塩害車にしかみられないということ・・

スキー場へよく行く車には融雪剤が必ず車両下部に付いてきますので、これで下部の洗い流しを忘れずにした方が良いことが分かります。

しかし、雪の多い地域では毎年冬には道路に融雪剤を撒きますし、海の近い地域には強風で潮風が年中のように車に降りかかりますので常に小まめに対処することは難しいことなのだとは思います。(逆に、車両等の錆び付きは仕方ないと割り切っているのかもしれませんが・・)

↑無事にオーバーホールを完了し、新しくなったパット&ローター

ともあれ、ブレーキピストンのオーバーホールも終わり、新たにディスクローターを変えて(左右セットで)前輪ブレーキが生まれ変わったのでスッキリしました!(ついでに右側も新品セットに)

今回の故障で改めてブレーキ引きずりの怖さを勉強させてもらいましたが、一般的に普段は走行中の金属音等で気が付くしかありません。(低い唸り音はハブベアリングの壊れている音)

しかし難しいのは、たとえブレーキが引きずっていたとしてもパットがある程度残っていれば音が出ない事が多いというところです。

一番簡単な確認方法として、Dの時ブレーキを放すとクリープ現象がちゃんとあるかということと、もう一つは ある程度に走った後にタイヤホイール部分を触って異常に熱くなっていないか(4輪ともに)確かめるという方法です。(暖かい程度はOK!)

いつも車を使っていて何か目立つ異常が無いかぎりは、特に何も気にしないでエンジンをかけて走らせており、各チェックなどは車検の時にしかしない人がほとんどだと思います。

しかし、たまには空気圧を確認しなければタイヤも変になりますし、エンジンオイルも定期的に交換しないとドロドロになってエンジンに悪影響となります。

今回の車両の様に、あの状態まで放っておいた(使っていた)のは「まるで骨折していた馬を無理に走らせておいた様なもの」で、あまりにも無情な(鈍感)事だったと思うのです。

今の時代、車は老若男女誰でも走らせることができますが、メンテナンス&チェックを車検時だけに頼ることなく、とにかく時には自分で確認してみることも必要でしょう!

 


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