夏のカーエアコンON時・信号待ちでカチカチ音の原因を解消した記 




夏に必ず使うカーエアコンですが、ずっと以前から悩んでいた不具合はアイドリングが信号待ち停止の際に上がらなく、エアコンコンプレッサーのマグネットクラッチが「カチカチ」と音を出していた現象でした。(エアコンを使わない冬期は、特に気にならないですけど・・)

通常はエアコン(A/C)をつけるとエンジンに負荷がかかるため、自動的にアイドリング(回転数)を上げてくれるしくみになっています。

しかし長年使用していると機械的な装置に汚れなどが蓄積していき、指令通りの動きができなくなってしまうわけです。

今はいろいろネットなどで調べればその大きな原因も見つかる時代になりましたので、素人でも改善方法を知ることができて、なおかつ修理店に持ち込みしなくても自ら直すことができる場合があります!

今回はスズキ車の代表的な「K6Aエンジン」の場合について、その改善体験記を書いておきたいと思います。(平成23年式くらいまでのスズキ軽自動車に使われていたK6Aエンジンに付いている、ワイヤー式スロットルボディタイプです)

 

燃焼室に送られる空気が足りないと起こる不具合!

信号待ちなどで停止するとアイドリング(回転数)が落ちますが、エアコンのスイッチを入れてコンプレッサーを動かすと更に力が必要になるので、アイドリングをもう少し上げなければなりません。

こういう時に上がらないという原因で代表的なのは、アイドリングをコントロールしている部分が満足に働けていないというものです。

その働きを邪魔してしまう犯人は、ずばり「長年の間に蓄積されてきた汚れ」なのです!

アイドリングを調整しているのは「スロットルボディ」という空気を取り入れる箇所&それに付いている「ISCV」(アイドリング・スピード・コントロール・バルブ)というモーター部品であり、それが適量の空気を送るという大きな役割をしています。(今の電子式には付いていませんが・・)

外からの空気を取り入れている箇所なので「エアークリーナー」というものが付いているのですが、内部燃焼の際に出るブローバイガスがここへ影響してしまうので、どうしても黒いススが少しづつ蓄積されてしまうようです。

その蓄積されたスス汚れを除去することで、今までよりも多くの空気が通れるようになるというのは確かなことでしょう!

ということで、今回は上の箇所を綺麗にしてみようとするものでした。(この清掃くらいなら誰でもできそうですし・・)

空気を適量取入れる働きのISCVとスロットルボディのしくみ

スロットルボディの清掃を始める前に、まずは念のためにバッテリーのマイナス(―)部分を外しておきます。

マイナス端子を外したら、それが金属部分に触れないようになるべく離しておきます。

このK6Aエンジンの場合は、エアークリーナーBOXを外せば簡単にスロットルボディを観ることができます。(全て外さなくてもOK!)

丸い大きな穴(筒状)が空気を取入れる役目です。アクセルを踏むとスロットルワイヤーで引かれ、筒の中に見える丸い弁(バタフライ)が回転して開くと、たくさんの空気が入るので燃焼が上がっていくという(機械的)しくみになっています。

年数によって丸い筒状の中が、だいぶ黒いススで汚れています。この丸い弁と周囲にスス汚れが溜まっていると、僅かな隙間からも空気が入ってこれないのです~

バイパス穴が少し手前に開いていますが、その穴から重要なアイドリング調整をする部分に繋がっているわけです!(先ほどのISCVへ空気が流れます)

アクセルペダルを踏まない状態=大きい穴が塞がっている時は、小さい穴(バイパス)から空気を少し取入れてエンジンを動かしておく「アイドリングという状態」を保っています。

大きな穴も弁と周囲を綺麗に拭いておきますが、今回の一番の目的はアイドリングアップをきちんとしてくれるようコントロールバルブ(ISCV)の方が重要な箇所となります。

ところが、この車の場合は取り付けられている箇所が狭くて力も入らず、ネジ外しに苦戦でした。

おそらく長年外したことがなかったのでしょう。手前の2本は緩み回ったものの、奥のネジは固くて緩みませんでした・・(力が入らないのもあり)

仕方なく「ラスペネ」を吹き付け様子を観ることにし、その間に大きな穴を清掃しておきます。

とにかく壊さないように清掃しなければなりませんので、なるべくブレーキパーツクリーナースプレーの直噴射は避けて、手拭きや綿棒でコツコツと黒いススを除去していきます。

すぐ横にあるワイヤーレバーを左手で引いて弁を開き、右手で穴の中や弁を拭いたり大型綿棒を使ったりして綺麗になっていきました。

最近の車に付いているバイパス穴の省かれた電子スロットルの場合は、特にここが重要な箇所となっています。

バイパス穴の中も大型綿棒を曲げて、なるべく届く範囲を掃除しました。

ISCVを壊した経験あり!清掃には気を遣います!
しばらく時間を経過したので、先ほど吹き付けておいたラスペネの効果を願いながら、1つだけ固くて外れなかったネジを外しに移ります。
このネジが付いている場所は、長いドライバーは入らず&小さなドライバーでは力が弱すぎるという困った箇所ですから、狭くても力が入る工具を考えます。
そこで今度は狭い箇所用のラチェットドライバー(100均でも売っている横型ドライバー)を使って回してみると、どうにか「パキッ!」とネジの固着が解ける音がしてホッとするのでした。(下の画像では左奥のネジ)
このネジを外す時は、狭い箇所なのでネジを下に落とさない様に布を下に敷いた方が良いでしょう!
(このまま下に落としたら最悪どこにいったか分からなくなりますので・・)
また、付いている電源用カプラーはISCV本体を外した後の方が容易に外せます。(そして、これも落とさないで済みます)
こうして取り外した本体が下の画像です↓
赤い矢印の部分が長年のスス汚れ(ブローバイガス汚れ)で、特に濃くこびり付いていました。
スプリングが見えますが、これによって伸びたり縮んだりができるしくみになっています。(今は伸びた状態になっていますが、電源が入るとコイルを縮めたりします)
重要なのはこの先っぽ部分なので、ここを重点に清掃すれば良いわけです!(↓の黄色枠部分)

但し、ここが大きな注意点があります。

以前(別の車で)、この本体にブレーキパーツクリーナーを吹き付け綺麗にしようとしたら、中のモーターへ染み込んで壊れてしまったことがありました。ですので、直接噴射は厳禁!なのです。
この中のモーターが壊れるとコイルが縮まなくなります。その結果、アイドリング用のバイパスを塞いだままで空気が通れず、アクセルペダルを放すとアイドリングしないままエンストとなります。
このような目にあった前回のこともあり、今回は布(ウエス)などに吹き付けて気を使って清掃するのでした。
あまり強く拭いてはいけませんが、けっこう何回も拭かないと黒いススは取れないです。(しつこい汚れ)

上の画像のように、左のISCVの先っぽが右のスロットルボディの奥に見える穴(バイパス通路)にハマります。(ここで伸び縮みする)

したがって、この穴も汚れていると伸縮性を阻害してしまいアイドリング用の空気を十分に流せなくなるのです。(お互いのスス汚れのベタベタが、スプリングの縮める動きを悪くする感じ)
なので、このバイパス穴のスス汚れも清掃して綺麗にします。ここでも穴掃除にぴったりの大きな綿棒が活躍します。(小さな綿棒は角などに使用)
狭い場所で奥にあるので当然見えませんので、スマホカメラで確認するか↓の写真のようにスティック式ミラーを使っていました。
要はISCVのスムーズな動き(働き)を復活させるには、この上の2点だけでも綺麗になっていれば良いわけです~
今回はせっかくなんで、バイパスの穴(下の写真の矢印)にはクリーナー噴射をしておきます。(ISCVの〇穴からクリーナー液が出てきます)
その後はエアーを吹いて乾かし、これで一通り清掃終了となります。
実はバイパスの穴の下に、もう一つ簡単に外せるプラスティック製バルブが入っている様なのですが、今回はISCVの清掃がメインでしたのでここは省略しました。
メインの弁や穴部が綺麗になったので元に戻していきますが、ISCVは向きを正しく慎重に取り付けていきます。(繊細部品なので衝撃を与えないように)
取り付けができた後にカプラーをハメれば良いでしょう。
ちなみに今回のタイプは3本ネジで、すべて同じサイズでした。(3か所どこでもOK)
でもここは+ネジではなく、6角ボルトタイプにして欲しかったですね~(固着が強いと+をドライバーでナメテしまう可能性が高いので・・)
後は、スロットルボディのゴムを元に戻したり、エアクリーナーを元の通りに取り付けて完了です!
ISCV清掃後はECUに新しく教えましょう!
最後にバッテリーのマイナスを取り付けたら、ECUには新しく空調バランスなどを覚えてもらうことになります。(リセットされてるので)
今回のこのK6Aエンジンタイプの場合は、もしかしたら共通かもしれませんが参考まで。
まずはブレーキペダルは踏まずにエンジンスタートボタンを2回押します(エンジンをかけない)
そして5~10秒くらい待った後に、OFFにします。(もう一度ボタン押して)
これを2回繰り返した後に、エアコンなど負荷をかけないままエンジンをかけて10分くらい。
その後にエアコンなどの負荷をかけて10分くらいで大丈夫だと思います。
あとは普通に乗っていれば、次第にECUは学習していきます。

*後記*
今回は「もっと早くやっておけば良かった~」と思うほどに、アイドリングアップが復活しました!(この清掃だけで)
夏のカーエアコンをONをしている状態で、信号待ちやバックする際に「カチカチ!」とコンプレッサーのクラッチが苦しむ音は、もう聞こえません!(普通にアイドリングアップしますので・・)
こういった負荷がかかった時にアイドリングが上がらないのは、ISCVやバイパス穴(スロットルボディ)の「掃除をしてくれ~!」という訴えだったのですね~
特に古い車や過走行の車で、この様な症状になってしまってる場合は今回の様に掃除をしてあげるだけでアイドリングアップが復活できますので是非ともお勧めしたいものです。
但し、アイドリング状態がまったくできない(ISCV自体が壊れている)場合は交換となるでしょう。