交換して解かった「車のベルト鳴き原因の一つ」を綴っておく記




ここ数年からのことですが、暑い夏になるとエンジンスタートした時やエアコン始動などで負荷をかけた時に、エンジンルームから高い音が聞こえる様になっていました。

ベルトが滑って鳴いていることは調べて分かっていたのですが、整備士にベルトを確認してもらっても特に亀裂損傷などは見当たらないとのことで、既定の張りに調整するくらいでした。

それでも暑い夏はやっぱり鳴ってしまうので,ゴム素材自体の劣化と判断し、新品と交換することにしました。

そこで今回は「交換して解かったベルトの鳴き原因の一つ」について記しておこうと思います。

錆びによっても劣化が進むベルト

夏の炎天下によって高温に熱せられたボンネット下のエンジンルームには、たくさんのゴム製品が使われており、その中に発電器やポンプ、コンプレッサーを駆動させるベルトもあります。(昔はファンベルトと言われていましたが、今はVベルトと呼ばれているものです。)

強い日差しによって熱せられる状態になれば当然にゴムは柔らかくなるため、駆動ベルトにも多少影響が出るはずです。

上の画像はベルトの断面を撮ったものですが、細かいワイヤーが入ってしっかりとしたベルトといえども、結局はゴム素材で形成されているものなので影響が出るはずなのです。

しかし強い日差しで熱せられる夏であっても、全ての車がベルト鳴きを起こしているわけではありません。

それでは我が車はなぜ夏に限って、鳴きが発生していたのでしょう?

その答えは、そのベルトを外してみて解かるのでした。

下の画像は外したベルトで、右がACコンプレッサー用ベルト、左がオルタネーター&ウォーターポンプ用ベルトです。

昔と比べて現代のベルトは性能が高くなり耐久性もありますので、古いベルトでも表面だけパッと見ただけでは解からない様です。

曲げると亀裂が解かるはずですが、亀裂がある様にも見えません。しかし、明らかに違うのはベルトの色です。

コンプレッサーベルトは原色の黒に対し、オルタネーターのベルトがチョコレート色になっています。

もっと詳しく診てみると(下の画像)ゴム素材が削られているのが解ります。

これは、ベルトを削りながら変色させていたプーリー側の錆びが原因だと判明しました。

そして尚且つ、溝の大きさも錆によって普通よりもだいぶ大きくなってしまった感じです。

どちらのベルトも亀裂は見られなくても、溝の深さや幅が出てしまっている状態なのです。(新品ベルトは、これほど溝がはっきりしていない)

この様な状態で、熱せられた鉄素材のプーリーからの摩擦力が変わらないはずがありません。

一方で冬はベルトもプーリーも熱せられないため、その分摩擦力が出て鳴かないのかもしれません。(ベルトとプーリーが滑らない)

下の画像は新しいベルトを交換した状態ですが、明らかにプーリーがチョコ色になっているのが視えます。

交換してからは猛暑日の炎天下の中、エンジン始動しても鳴らなくなりました。しかし問題は、これがいつまで保てるかです。

新品のベルトによってプーリーの錆びが落とされていくか、それともプーリーの錆びによって再びベルトが削られていくか、そのどちらかでしょう。(できれば錆の方を落としてもらいたい・・)

いづれにしても、数年前の夏から鳴き始めたということは何かしらの合図であったわけです。ベルトの年数が経過していなくとも、または距離が経過していなくとも、プーリー側の錆びによって劣化は早まってしまうということが解りました。

車検の時にベルトの張り調整が項目に載っていますが、それも鳴きを抑えることはできませんでした。(調整しても間もなく再び聞こえるようになります)

ベルトが滑って鳴きが聞こえるようになったら、それは溝がけっこう彫られた状態になっているという合図ということです。大きな鳴きが聞こえたその夏中には、新品ベルトに交換した方が良いのですね!